7話
太宗「褒美を与えるべきか、罰を与えるべきか。敵を倒したことは褒めよう。しかし、世子が戦場にでることは重罰に値する」
世子「右軍総制や将兵達には褒美をください。私には罰をお与えください。軍器官(グンギカム。武器製造を担当する官庁)の官奴にしてください。官奴となり自ら大砲を作ります。強力な大砲を用意していたら敵を逃がさずに済んだはずです。全滅させられず撤退の隙を与えたことは国の不名誉です。世子としてそのような不名誉には甘んじません」
忠寧大君が国を想って動くことは許されず(忠寧大君が政治に興味を示したために、内官と叔父二人が亡くなりました)世子は王からの許しを得ました。忠寧大君は自由に振る舞うことを許される世子を羨みます。
パク・ウン吏曹判書はミン・ムヒュルが今回の活躍により昇進し、弟のムフェも世子の右腕になるだろうと復讐申を抱くミン家の者が重用されることを心配します。
「ムヒュルは中軍将になるだろう、ムフェは敬承府(キョンスンフ。世子を補佐する官庁)の尹になるだろう。ミン家のために、そなたを知申事(王の秘密秘書。後の都承旨)にしたのではない」パク・ウンはミン・ムヒュルが今回の活躍により昇進し、弟のムフェも世子の右腕になるだろうと復讐申を抱くミン家の者が重用されることを心配します。
チョ・マルセン知申事は「家門の事情よりも能力のあるものを採用して国の基盤を固めるべきだ」と反対します。
イ・スクボン兵曹判書、イ・ジョンムも、今回の人事が気に入らないようです。
王后も弟たちに昇進を断るよう説得します。今、昇進すると国のためではなくミン家のために戦ったと思われて王に目をつけられるかもしれません。
世子の戦勝を祝う宴にユン・フェの姿がありました。重臣たちに追い出されたユン・フェは「戦勝とは笑わせる」「勝ちの体裁だけ整えておいていい気なものだ」と言い残し出て行きました。それを聞いた忠寧大君は「どういう意味だ」と聞きますが、ユン・フェは「現地にいけばわかる」とだけ言います。
忠寧大君は芸文館の大提学シム・オンに「応教(ウンギョ。歴史編纂をする官職)だったユン・フェとは何者か」と聞くと「高麗王朝の徐ヒ(ソヒ)と同じくらい優秀だが、素行に問題があって、人を簡単には切りすてないファン判書がクビにした」と言います。
ユン・フェの言葉を聞いたファン・ヒは金浦を調査し、忠寧大君もまた金浦に行きます。戦の処理は戸曹と兵曹の担当であるのに、礼曹のファン・ヒが調査することを領議政は嫌がります。
忠寧大君が金浦へ行くと、倭寇が荒らした租税倉庫を補填するために、兵士たちが商団の倉から穀物を奪っていました。世子の初出陣に泥を塗らないため、何も盗まれていない、被害はない、と見せようとしていたのです。世子の功績のために民が犠牲になりました。民の為に何もすることのできない自分に苛立ち、仕方なく酒を煽ります。それを見たイ・スは「民を想う気持ちはどこへ行ったのですか。正しいと思うなら道を探せばいい。まずは嫉妬心を捨てなければ、民は見えない。王子さまは自分自身を不幸に思っているだけだ。認められたいという欲を捨てない限り道は見えません」と叱ります。
酔って帰って来た忠寧大君に后は「子どもができた」と伝えます。忠寧大君は「自分と同じ境遇の子どもが生まれる…」と喜ぶことなく、思い悩んでしまいます。
ダヨンが漢陽に行き、母のために明国から輸入した薬を買って帰宅すると、母は亡くなっていました… 母は読経で送ってほしいと娘に話していましたが、国では抑仏政策を取っており、両班であり権力を失いたくない父は僧侶を呼びません。
忠寧大君は、世子の軍事訓練所に行き「過ちを正したい」と世子に言います。
8話
康寧浦(カンニョンポ)の略奪には倭国の間者が関わっていると考えた忠寧大君は、倭国の間者を探し機密漏洩を防ごうと世子に進言しますが、世子は大砲訓練をし兵を強くすることを優先します。
火薬の知識に長け、国一番の武器製造技術を持つチェ・ムソンの息子、チェ・ヘサンが大砲訓練の日に姿を消します。火薬を作れるのはチェ・ヘサンだけなので、彼がいなければ大砲訓練はできません。
ヘサンは倭国の間者に捕まっており、日本に行き、日本の為に彼の技術を使ってほしいと言われます。
重臣たちの間では、外国人の出入国管理を強化するかどうかで揉めます。外国人に出入国のために人員を割けば都の警備が疎かになり、それぞれの派閥同士譲りません。
忠寧大君はユン・フェに会い「日本人が欲しがる情報は何だと思うか?」と聞きます。
「日本の状況もわからないので断定するのは難しいが、一般的に考えると、軍事情報だろう」
それを聞いた忠寧大君はチェ・ヘサンが倭国の間者にさらわれたのだと考えます。少監に就いて以来、一度も欠勤したことがないヘサンがこのタイミングで行方不明になるなんて間違いないと忠寧大君は世子と叔父に訴えますが、憶測で兵を動かすわけにはいかない、手がかりを探せと言われます。
チェ・ヘサンが誘拐されたという情報はオク・ファンの元にも届きます。高麗王朝復興を目指すオク・ファンにとってもチェ・ヘサンは欲しい人材です。朝鮮政府よりも先に見つけ出し、高麗に忠誠を誓わせるとしてオク・ファンの手下は必死に探します。
母の死を悲しむダヨンのために使用人のヨンシルは花火を作り、奥様の死を悼みます。ダヨンとヨンシルは恋人関係のようです…
忠寧大君は、ユン・フェの証言をもとに作った人相書きの男が官服を急いで仕立てて欲しいと針子に頼んだという証言を得、倭国の間者が役人のふりをしてヘサンに近づいたという証拠を得られました。世子はヘサンを救出するために兵を動かし、世子、忠寧大君はヘサンを取り戻し、間者を捕らえます。
忠寧大君が“火薬情報の載った書物を餌にヘサンは間者を連れて家に戻るだろう。家に戻れば、国の者が助けてくれるだろう”と予測しヘサンを救ったことに、オク・ファンは警戒します。倒すべき朝鮮の大君がこれ程に優秀だとは…
ヘサンの持つ火薬情報を奪って国の所有にするという世子に忠寧大君は「真心で察しなければ、火薬情報どころかヘサンも失うことになる」と進言し、また、誘拐されていたヘサンを見舞います。
忠寧大君は師匠の前で「生まれてくる子供のためにささやかな慰めになるような生き方をしたい。“たとえ影として生きても、抱いた大きな夢を諦めてはならぬ。それこそが人間らしい生き方だと”息子を慰めてやりたい」と話します。