37話「父王の願い」
「世間はお前が賢者だと言う。もし私が長子を捨て、賢者を世継ぎとして立てると言えばお前は受け入れるか?」
「父上、私は賢者ではありません」
「受け入れる意志はないのか?」
「機会をくださるなら、真の賢者になれるよう精一杯努力します」
王后が王殿に入って来ます。「努力などするな。何もするな」「王様、今の話はなかったことにしてください。誰の入れ知恵ですか。彼らを斬って廃位など主張できぬようにしてください」
「下がるのだ」
「私が下がれば忠寧に機会を与えるつもりですか。この子は意味をわかっていません」
「お前は世子を血を分けた兄弟を敵に回すのだぞ。それでよいのか。争いはどちらかが倒れるまで続く。お前はそれをわかっているのか」
王「受け入れるのか?実の兄を敵に回して戦う覚悟はあるのか?」
「ないと言え。ないと言うのがまともな人間だ」
「忠寧に聞いているのだ」
「受け入れます。世子様の政敵になる覚悟はあります」
王后は涙を流します。
王后は忠寧大君に「もう母と思うな。お前にはもう母はいない。権力欲を捨てない限り決してお前を息子と思わぬ」と言い、去って行きます。
しかし、忠寧大君派の重臣や役人達、儒生達が温かく彼を迎えます。
ファン・ヒは領議政の元へ行き、「賢者を選ぶなど諦めてください」と言います。
領議政「どうやら私を甘く見たようだな。私なら、王の資質が全くない者でも王に仕立てられると思っていたか」「義禁府に行け」
義禁府では、世子が勝手に、世子派重臣を釈放しようとしていました。チョ・マルセンがやって来ます。「世子様が罪人を斬れとの王命です」
ファン・ヒは王に掛け合います。
「世子様は王命に従うでしょうか」
「従わねば世子の座を失う」「側近を斬る心の痛みを知らしめるためだ処刑後すぐ余と重臣たちに謝らせろ。自らの罪を認め、二度と過ちを繰り返さぬよう謙虚に反省させるのだ」
「聞き入れぬでしょう」
「では余の手で世子の座から降ろす」
「世子様が失脚したら、世子は忠寧大君になるのですか」
「それが天の命令であれば」
「それならば王様の手で世子様をお斬りください。骨肉の争いを王子たちに繰り返させてはなりません」「世子様にもう一度機会をお与えください」
王は、世子を庇うファン・ヒを罷免し遠地に送ります。
忠寧大君は着々と帝王学を学び、一方の世子は政務復帰を許されていません。
ク兄弟は処刑され、キム・ハルロも遠地に送りになります。
しかし、王は世子の交代を決断しません。
儒生達は、座り込みをし、長子を捨て、賢者を選ぶよう王に進言します。
チョ・マルセンは上王に近づき、「忠寧大君は、以前、王室の正統性を否定した、聴聞する必要がある」「王命に逆らったり、王室を否定しない善良な王子なら、私だけでなく誰もが賢者と認めるでしょう」と言い、孝寧大君を後押ししようとします。
王は世子を諦められません。
「賢者を選べば、丸く収まるのでは?」
「余はお前に賢者になってほしいのだ。周囲がどれだけ反対してもお前を諦められない」
世子本人も、もうやり直せないと気づいています。誰もがそう知っているのに、父だけがそのことに気づいていない、と世子は父を憐れに思います。
そんな中、誠寧大君が豌豆瘡(ワンドゥ、エンドウソウ、天然痘)に罹ります。
義弟の為に薬作りを手伝うシム氏に嬪宮は嫌味を言います。「もう国母気取りか?夫は世子にする野望は捨てなさい。世子はの座は長子のもの。万一、世子様が廃位されたとしても、世子の座は元孫のものだ。忠寧大君のものではない」
誠寧大君は、「兄弟仲良くしてください。世子様と他の兄たちが仲良く過ごすことが私の願いです。そうすれば母上も悲しまないでしょう。母上をよろしく頼みます」と兄たちに言い、息を引き取ります。
オリは「世子様と私のことを内密にしてください」とシム氏に頼みますが、「女の一言で考えをかえるようなことはしない」と相手にされません。
王宮には、世子とオリの関係について告発文が貼られます。
オリが倒れたので、世子はオリを抱きかかえ王宮に連れて行きます。
「何の真似だ」
「私の女が病気なのです」
コメント