29話「高麗王室の遺言」
「お前がこれを読むころには、私はきっとこの世にいない。
運が良ければ、お前の父、イ・バンウォンの首を取れるだろう。
権力に目がくらみ、忠心を軽んじれば、反逆者達に道を明け渡すことになる。
高麗革命軍を攻めてきますが、秘密の通路を知ったファン・ヒは、隠し通路に兵を配置していました。
忠寧大君は、王宮を攻めるイルチの前に現れます。「私が謝る。たとえ最期の時を迎えても父は謝らないだろう。そんな父だとわかっていても、放っておけなかった」
その場にムビも現れ忠寧大君を斬ろうとします。イルチは忠寧大君を庇い、剣を受けます。「まだ教えていない明の言葉があるのに…。情けではない、お前が愚かだからだ。敵だと知りながら、私のような者を師匠と呼んでくれた、友と呼んでくれた愚か者だからだ。お前のような愚か者をこの世に一人くらい残しておくのも良いだろう」イルチは命を落とします。
忠寧大君はイルチの手を握り、肩を抱き、泣きます。オム・ジャチも駆けつけ、号泣します。
オク・ファンは独り、王宮に姿を現します。
「死に場所を求めてきた。同志の側で自決させてほしい。負けを認めよう。お前の勝ちだ。だがお前はまだ真の王ではない。ワン氏からイ氏へ、刀で変えられるものは王朝の名前だけだと覚えておけ。20年前、高麗王朝が倒れたのは、イ氏のせいではない。自らの無能と腐敗のせいだ。だが、お前が奪い取った王座で、暴虐な政治を続けるならお前は真の王にはなれぬ、国は破滅の道を進むだろう。かつては高麗王朝の子で、今は朝鮮王朝の子である民の為に願っている。この私がお前の最後の敵であらんことを」オク・ファンは自決します。
オク・ファンはオリに遺言を遺していました。
「我らはこの国を恨み殺戮に走ったのではない。新しい国を作ろうとした同志たちだ。この同志達を覚えておいてほしい」
「この国の王を救い、国を救いたかったのであれば許す」そう言いかけた王に、忠寧大君は「家族を救いたかっただけです」と言います。
2年後、王は体調不良を理由に、ユ・ジョンヒョンを領議政に任命し、要職の人事権を与え、軍事と外交以外の政務を世子に代行させると発表します。
世子は人事権が欲しいと王に申し出ますが、王は受け入れません。さらに「役人達を師として敬え。謙虚に教えに従え」と言われます。世子は「謙虚さの見本がないので不安だが、努力する」と答えます。
ファン・ヒは、領議政に「私欲がないから任命されたのでしょう」と言い、人事の参考にと自分の考えた人事案を渡します。
地方に行っていたメン・サソンが礼曹判書に、シム・オンは留任、ファン・ヒは工曹(コンジョ)に格下げになります。
イ・チョン軍器監正 は、遼東への出兵と領土回復のお手伝いがしたいと世子に言います。
世子派は集まり、国の為世子の為命を捧げると誓いを立てます。
世子は、オリを愛人にしています…。
30話「北三道(プクサムド)の現状」
威吉道(ハムギルド)鏡城(キョンソン)に送られた忠寧大君は、村人と一緒に狩りをして生活しています。女真族との国境に面した鏡城では、女真族とのいざこざが絶えません。
イ・チョン軍器監正は、鏡城を出兵の前哨基地とするため、陣を構えておくよう世子に命じられ、鏡城に派遣されました。派遣されたもう一つの理由は、忠寧大君の様子を監視するためでしたが、忠寧大君は、政治に関心を持たないよう、関わらないよう、心を殺して生きていました。
鏡城節制使のチェ・ユンドクは、国境を越えた罰として、村人から家畜を没収していました。
出兵に向けて資金確保が問題となります。ミン兄弟は、私田京畿の原則(土地の独占を防ぐため、私有地を京畿道に限定した制度)を廃止しようと進言します。私有地を許可する代わりに、税を多く納めさせる、世子にとって良策に思われましたが、これはミン兄弟が密かに所有する土地を合法にし、罪を逃れるために考えた策でした(前領議政ハ・リュンは、私有地を不正に持っていたため、失脚しました)。「万が一、世子が即位後に外戚を排除しようとしても、自分達に権力があればけん制できる」ミン兄弟はそう考えます。
また、私有地を足掛かりに権力を持つ者が現れ、その腐敗により高麗は滅亡しました。王権強化のためにも、重臣たちは反対しますが、世子は聞く耳を持ちません。
さらに世子は、敬寧君と母親を王宮から追い出そうとします。「未婚の弟を追い出すのは兄として間違っている」と王に咎められますが、「王位を狙う弟たちへの見せしめだ。芽は摘んでおかなければ」と世子も譲りません。
「王様のやり方を嫌っていたはずなのに、同じことをしている。臣下の従え方も、政敵の切り捨て方も…。世子様を動かし、利権を得ようとする側近には警戒しなければ」とファン・ヒが諭しますが、「彼らは私に命を懸けると誓ってくれた忠臣だ、下心はない」とミン氏を信じて疑いません。
王も、ミン兄弟が世子を動かしていると考えます。
世子は、世子嬪の実家にオリを住まわせ、逢瀬を重ねていました。オリは「他人の愛人だった私を、世子様が横取りしたと非難されるのは耐えられない」と言い、別れを切り出しますが、世子はオリを引き留めます。高麗復興勢力の一員だったオリが世子を心から愛しているとは思えず、オリの考えには裏があると思えます…。
チェ・ユンドクは、女真族に賄賂を贈っていました。女真族は、賄賂ではなく、貿易を再開しろ、と言いますが、チェ・ユンドクは「辞めたのは俺ではない。お前達が明国側に付いたからだ。もう少し待ってくれ、朝廷に掛け合ってみる」と言います。
チェ・ユンドクが女真族と密会していた現場を見たイ・チョンは、チェ・ユンドクを捕らえようとしますが、搾取されていたはずの村人たちが、チェ・ユンドクの捕縛に反対します。
敵国と密通する悪徳役人だと思われたチェ・ユンドクは、国境に新たな柵を設置したりと、国と村人のために働く一面もありました。忠寧大君にチェ・ユンドクは「誤解ならいつか解ける、騒ぎは解決すればいいだけのこと」と言います。
イ・チョンは、敵国をけん制するために大砲を送ってほしいと世子に書状を書きます。
ミン兄弟は「私たちの忠誠心」と言い、多額の銀を世子に贈り、世子の心を掴みます。
行方不明になっていた孝嬪屋敷の乳母が驪州(ヨジュ)にいると突き止めたセギ婆は、孝嬪にそのことを伝えます。その現場を見ていた、イソン(女官になっていました)は、王后に「よく聞こえませんでしたが『乳母』『驪州』と聞こえた」と王后に報告します。ミン・ムヒュルは急ぎ乳母を始末しようとしますが、王の兵が追いつき、乳母を王の元へ連れて行きます。
「違います、王様、殺害を命じたのは、王后様です」
感想
髭になって、ようやく気づいたのですが、忠寧大君役は、『王になった男』の都承旨ですね!『王になった男』も大好きなドラマで複数回視聴したにもかかわらず全く気付かなかったです(^-^; 今回は、王様を補佐する役目ではなく、王様になっていたなんて、都承旨がハソンに助言した数々の言葉が思い出されます。
キム・ジョンソが内官から内禁衛(ネグミ)所属になっていました!(そんな移動ありなのでしょうか?!)
大王世宗 29話、30話のネタバレと感想でした。最後までお読みいただきありがとうございました☆
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