40話「新王誕生」
世子は座り込みをし、譲位の撤回を求めます。重臣たちも座り込みをします。そうすると雨が降ってきました。
「天も余の意を拒まぬようだ」王は改めて譲位への意思の固さを重臣たちに話します。「世子に即位してまだ2ヶ月の世子には、全ての政務をこなすことは無理だ、新王が30歳になるまでは、軍と人事は余が執り行う」
世子は「私はまだ賢者ではない。『集賢』そなたたちの賢さを私に授けてくれ。私が真の賢者になれるよう、善良な国王になれるよう、私のためそなたたちの賢さを集結してほしい」と語ります。
王は世子を霊廟に呼びます。「ドよ、私は今までめったにお前の名を呼ばなかった。長く側に置かなかったゆえ当然かも知れぬ。だが今日限りでお前の名を呼べなくなると思うと、悔いもある、残念にも思う。立派に育ってくれて感謝している。私に目をかけられずに育ったのに国を任せられるほど立派になってくれた。心から礼を言う。聖君になるのだ。全ての悪行は父の手で終わらせる。だからお前は聖君になるのだ」
新王の即位式が行われます。民には米が配られ、罪人には恩赦が施されます。
イ・スは右副代言(現在の大統領府の主席秘書)
ユン・フェは同副代言(現在の大統領府の主席秘書)
チョン・インジは礼曹佐郎に昇進していました。
チョ・マルセンは王の補佐役の知申事になります。
新王は「民を天と崇め、民に仕える」と宣言します。
新王の即位からまもなく、上王は対馬への出兵を表明し、武器や戦船、軍糧米の確保のための特別税の徴収を王に命じます。
倭国の間者、ピョン・ドジョンは朝鮮人に帰化し、軍務に関わっていました。
日照りが続き不作で民が困窮する中、特別税の徴収をしては民の負担が大きく、民心が離れると王は心配しますが、上王は対馬出兵で民心を取り戻せると考えます。王は外交で解決したいと考えますが、即位して間もない今は慈愛よりも力を見せつけるべきだと上王は助言します。
カン・サンインも、南海岸地方では倭国の襲撃が多く民が怒っている、出兵は激怒した民を鎮めるためだ、攻撃は最大の防御にもなる、と上王に賛成します。王は鏡城時代を共にしたカン・サンインを信頼しており、サンインが出兵に賛成するなら、それに従うと言いますが、サンインは実は上王に呼ばれて上王の手足になるように言われていました。出兵に賛成すべきか、サンインは悩みます。
王は、ユン・フェにパク・ウンと取引してほしいと持ち掛けます。
チョ・マルセンは王子じゃ代からの側近たちと仲良くし過ぎるなと忠告します。
王は、賢者を集めるための試験を行い、合格者を新たな側近にする、そなたも余の側近になってほしい、試験官として賢者を選ぶ手助けをしてほしいと、チョ・マルセンに言います。
「余に知恵を与える者は誰であれ、余の側近だ」
さらにパク・ウンには集賢殿(チッピョンジョン)の領殿事(ヨンジョンサ、正1品)を授けます。「そなたの監査の腕を高く買った。出兵のための特別税徴収は避けられぬ。特別税の財源は、監査で確保する、不正に得た金を回収する。まずは不正金の前例を徹底的に調べ、その結果を集賢殿の学士と共に研究し、余の政策が円滑に進むよう助けて欲しい」
こうして集賢殿(世宗時代に政策開発や文化発展に主導的役割を担った官庁)が完成します。
コメント