31話「世子の正統性」
「閔氏一族が敬寧君の殺害を命じたのか?」
「違います、王様、殺害を命じたのは、王后様です」
王后はあっさり認めます。「私の女官を側室にするために、信頼を裏切ったあなたが許せなかった!」「許しなど請いません!」
ミン兄弟は投獄されますが、取り調べもなしに世子が勝手に釈放します。しかし、ミン兄弟は、「我々を捨て、王后様をお守りください。廃妃の子になってはいけません。世子様の正統性をお守りください。我々の最期の忠誠心です」と世子に訴えます。
世子は王に会いに行き、「王后と私の忠臣に手を出すなら、孝嬪と敬寧をこの手で斬り捨てる」「孝嬪に警告してください『王様を色仕掛けでたぶらかすな。浅はかな策で、母上と私の臣下に手を出すな』と」それだけ言い、出て行きます。
王后は「母のことで王に逆らい、臣下の信頼を失うべきではない。私は、王と国母の座を捨てるつもりだ。母のために何もするな」と世子に言います。
翌日、王宮を去ろうとする王后を、王は引き止めます。「男としても、子の親としても、そなたを王宮に置くことはできないが、世子のため、国母の務めを果たせ」
王后は、王が弟たちを殺すつもりだと考えます。「弟たちに手を出さないで!」
王「これ以上弟たちを守ろうとすれば、世子は世継ぎの座を失うぞ。それが望みか?」
王后が罰を受けないと聞いた孝嬪は、王を責めますが、言い返されてしまいます。「では、そなたが代償を払うか?我が子の未来のため、国母と世子を陥れた罪だ」「そなたを得てから、余は一度も王后に心を向けたことがない。王后は王宮に残す。妻として余に生涯を捧げ、世子を産んでくれた女人への最後の礼儀だ。これ以上、王后に手を出すな。朝鮮を根本から揺るがすことになる。次はそなたを捨てるぞ。余にとってそなたは大切だが、朝鮮がそれ以上に大切だ」
廃妃の議論を収めるよう命じられたパク・ウンは、私有地を理由にミン兄弟を処罰することにします。ミン兄弟は世子を思い通りに動かすために、私兵を育て、勢力を拡大していたとイ・スクボンは明かします。スクボンは、パク・ウンに付くことにしたのです。世子は信じません。
イ・チョンが国境に大砲を配置したため、女真族は、朝鮮の行動を宣戦布告と見なし怒ります。チェ・ユンドクは「現地の事情や民を顧みずに、戦おうとするな」と諭しますが、イ・チョンには伝わりません。民を守ろうとするチェ・ユンドクを見た忠寧大君は、彼を過去の自分の姿と重ねます。
事態を収拾するため、カン・サンインは、イ・チョンの言う通りチェ・ユンドクを罷免する代わりに、後任の節制使が来るまでは、大砲を配置しないで欲しいとイ・チョンに命じます。
ヨンシルはチェ・ユンドクを助けて欲しいと忠寧大君に願い出ます。「正しいと信じた道は真っ正直に突き進む、己をの身の危険など考えようともしない、ひたすら走り続け後ろを振り返ろうともしない、かつての王子様のようです」「節制使様が抱く希望を私も抱きそうで、助けたくなりそうで、そして絶望し、私も荒れてしまいそうで、不安なのです。あの方が気がかりなのです。本当にいいのですか?後悔しないのですか?」
世子は「政務の代行をしている私に、叔父たちの審問を任せて欲しい」と王に申し出ます。
翌日、パク・ウンは審問官を務めます。
「敬寧君を殺害しようとしたことは事実か?」
「王室を守るための決断です。称賛されても、罪に問われる覚えはない」
「下三道(ハサムド)全域の広大な土地を隠匿し、多くの私兵を集めた、謀反を企てたのか?私兵による反乱を画策し、世子様の即位後に王座まで奪おうとしたのだな」
「違う、謀略だ」
拷問を命じるパク・ウンを世子が止めます。「叔父たちの潔白を信じます。彼らが信じないことが残念です。だからこそ、皆の前で潔白と忠心を証明してください。自害を」